『不在への旅 不在からの旅』
文豪? 巨匠? はぁ? 死語でしょ、そんなん。そんな絶滅種の跡を2008年辿るってほとんど考古学者のお仕事になってるんです。巨匠達の映画(例えば)はコアな上映会でももう観ることは出来ず誰かの文章から推しはかるだけ。まして彼らの楽しんだ食事の時が今に甦るわけもなく。。。 今はほとんど「遺構」と成り果てた店にポツンと座り、あった筈の時を手繰り寄せるオカザワ氏を読者は憧れるべきでしょうか。案の定、一口食べるのがやっとの料理を前にして途方に暮れる氏を嗤うべきなのでしょうか。
「新進気鋭のイタリアン」等の所謂グルメ評論を知性において一歩も二歩も突き放す問題作。極めて良質でちょっとロマンティックな随筆ともいえるのかな